野島伸司の 正体見たり 枯れオタク

遅ればせながらプライド第2話を視聴。相変わらずやなぁ・・・と思いつつ見ていたら、実に野島らしいシーンを発見。
どういうシーンかというと、キムタクが自分の理想像を相手に求めて、古い映画のビデオを押し付けるシーン。これ、典型的なオタクの行動で、やるのがキムタクだから気づかないだけで、空から降る一億の星では、八嶋智人演ずる深津絵里のストーカーの異常性を表すために同じシーンをやっている。
野島伸司の脚本は、武田鉄矢演ずるブサイクをヒーローに持ってきた「101回目のプロポーズ」から一貫して弱者の方にのみ視点があたるという共通点がある。これは本人が今一番の社会的弱者といえるかもしれないオタクであるからこそであろう。
野島伸司のオタク性が特に強烈に現れたのはリップスティックで、これは少年鑑別所に収監されている少女5人と教官との1ヶ月限定のお話なのだが、「さまざまなタイプの少女x人」「期間限定」、その上に少年鑑別所というある意味学校とも言える舞台を用意した点から考えて、これは野島版「ときめきメモリアル」に他ならない。
あとは世紀末の詩も特徴的で、異常に抽象的な内容と最後に本人の詩が出てくるのがポイントだったのだが、ちょうどこのころ野島はかつての彼女である酒井法子*1がイケメンサーファーという社会的強者と結婚してしまう大失恋を迎えている。男のオタクが失恋したらポエムの世界に行ってしまうのはお約束である。
そして何より桜井幸子、というか本来のキャスティングである観月ありさから始まって上戸彩まで、アイドルばかり使うのが本人のオタク性の証明に他ならない。
野島にとっての最大の悲劇はいしだ壱成ドロップアウトしてしまったことで、オタク的な(もっと言うとオタクが自分自身に対して美化して思っている)ナイーブさを表現できるいしだ壱成は野島にとって最も自分の代弁者になりうる存在で、現状では野島は羽をもがれた状態である。いしだ壱成が完全に帰ってくるまで野島はかつてのような才気あふれる脚本は書けないのであろう。

*1:かつてオタクにとってアイドル=のりピーだった